チームビルディング概論

今回の概論の目的


目的の言語化


1. チームビルディングについて理解を深める

2. チームビルディングを実施できるようになる

チームとは?

グループとチームの違い

グループ

  •  達成する目的がない
  •  方向性がバラバラ
  •  組織化されていない

チーム

  •  達成する目的がある
  •  方向性が統一されている
  •  組織化されている

チームとは

1. 目的を共有する関係性
2. 個の力を超える集合知
3. ともに在ることを選び続ける意思
4. 信じて託す力の集合体

なぜチームが必要か

なぜチームが必要か

スキルと知識を集結させるため

一人ではカバーしきれない分野の知識や
スキルを補完し合う

視点を増やすため

物事を様々な視点からとらえる

意思決定の質の向上

多角的な視点を持つことで,より客観的で
バランスのとれた意思決定を行う

モチベーションと責任感の維持

チームで成果を出すという意識が
責任感や主体性を育てる要因になる

目指すべきチーム

理想的なチームとは

✨ 3つの重要な要素 ✨

1
チーム全員が目標について
理解している
2
各個人に明確な役割がある
3
他人任せにせず
仕事に対して主体的に動く

理想的なチームの具体例

優れたチームの特徴:
• それぞれの最終目標は異なるが,共通の大きな目標を共有している
• お互いに信頼しており,自分の役割を理解している
• それぞれが主体的に動く

目標の共有

共通のゴール

役割の理解

専門性の発揮

主体的な行動

自律的な判断

主体的に動ける環境とは

Googleプロジェクトアリストテレス

生産性を向上させる働き方の調査

心理的安全性

ミスを理由に非難されないと感じられる

相互信頼

仕事を最後までやってくれると信じられる

構造と明確さ

有効な意思決定プロセスがあると感じられる

仕事の意味

本人にとっても意義があると感じられる

インパクト

組織の目標達成への貢献を理解している

心理的安全性と責任感の関係

責任感:低 責任感:高
心理的安全性:高
😌 快適
居心地はいいが
受動的になる
🚀 主体的
理想的な位置
主体的な行動が可能となる
心理的安全性:低
😑 無関心
全く行動できない状態
😰 不安
責任感で行動はできるが
精神的苦痛を伴う

チームの状態を知る

タックマンモデル

形成期

Forming

混乱期

Storming

統一期

Norming

機能期

Performing

💡 動乱期とも呼ばれる混乱期を乗り越えることが重要

タックマンモデル簡易評価(1/2)

5段階評価:
1.全くそう思わない 2.あまりそう思わない 3.どちらともいえない
4.ややそう思う 5.とてもそう思う
1. チームの目標や方向性が曖昧だと感じる
2. メンバー間で意見の衝突がしばしば起こる
3. チームの中で信頼関係が築かれてきたと感じる
4. チームが一丸となって目標達成に向けて行動している
5. 会議では遠慮して発言を控えるメンバーが多い

タックマンモデル簡易評価(2/2)

6. チーム内で主導権を巡る競争や対立が見られる
7. 互いの強みを活かして協力する雰囲気がある
8. 各メンバーが自発的に動き,成果に貢献している
9. チームでは指示待ちの姿勢が多いと感じる
10. 問題が発生してもチームとして効果的に解決できる
採点方法:
形成期(1,5,9) / 混乱期(2,6) / 統一期(3,7) / 機能期(4,8,10)
各段階の平均スコアを算出し,最も高い段階が現在のチームの状態

各段階での具体的な行動

形成期での行動

まだビジョンや目標が浸透していない状態.お互いの理解ができていない.

チームの目標設定

目的:チームの方向性とゴールの決定

方法:SMARTの法則・OKR

ポイント:曖昧にせず,明確に決める
     最終目標のほかに中間目標をつくる

アイスブレイク

目的:緊張の緩和・相互理解の促進

方法:簡単なゲーム・雑談・食事会

ポイント:同じ人ではなく全員が話せる
     環境をつくる

混乱期での行動

チームの目標や人間関係・業務など様々な事柄で混乱が起きる

個人の役割の決定

目的:チーム内で責任感を持たせる

方法:各個人に明確な役割を与える

ポイント:うまくいかなくても責めない
     うまくいく方法を一緒に考える

1on1

目的:個人の不満や考えを聞く

方法:相手の悩みを聞き,FBを行う

ポイント:❌ 話を聞く
     ✅ 会話をする

フィードバックの注意点

言いにくいことをはっきり伝える 言いにくいことを言わない
相手を気にかける
徹底的な本音
相手を気にかけ
言いにくいことを言う
相手の成長につながる
過剰な配慮
言いにくいことを言わない
→ 相手の改善につながらない
相手を気にかけない
嫌味な攻撃
相手を気にかけず
言いにくいことを言う
最悪な状態
摩擦の回避
衝突を避けるため
放置している
→ いわゆる無関心

統一期での行動

それぞれの役割が明確化され目標達成に向けて協力して動き始める

振り返り会の設定

目的:目標から逸れていないか全員で確認

方法:KPIやYWTなどを活用
   Figmaなどに残す

ポイント:❌ 懺悔の場 ✅ 次に活かす場

情報の共有を促す

目的:不透明な情報を排除し
   不安をなくす

方法:情報をパブリックにする

ポイント:情報共有ツールを分散させない

機能期での行動

メンバーが自分の役割を理解し目標に向かい主体的に動く

見守る

目的:ここまできたらあとは見守る

方法:問題が発生した時だけ口を挟む

ポイント:放置ではなく"見守る"
     チーム内の課題や問題は常に探す

⚠️ 重要
機能期に到達しても,
環境の変化により前の段階に戻ることがある

何が人を動かすのか

何が人を動かすのか?

金銭
自由
承認
成長
貢献

マズローの欲求階層

マズローの欲求階層

自己実現の欲求
承認の欲求
社会的欲求
安全の欲求
生理的欲求

生理的欲求

基本的な生存欲求

  • 食事,睡眠,休息などの基本的欲求
  • ここが保証されない限り上層の欲求を満たすことができない
⚠️ 特に睡眠時間は削りがちなので要注意
自己実現
承認
社会的
安全
生理的欲求

安全の欲求

安定と保護の欲求

  • 経済的安定,身体的安全,健康の維持
  • 金銭で満たせる欲求はここまで
チームとして成功させるには
これより上の層にいく必要がある
自己実現
承認
社会的
安全の欲求
生理的

社会的欲求

承認の欲求

尊重と評価の欲求

✅ 適切な賞賛と批判でメンバーの活動を評価する
✅ 役割や責任を持たせる
✅ メンバーが自分の価値を高められるように指導する

自己実現の欲求

自己の可能性の実現

適切な仕事を振り,成長する機会を与える
外部との交流を通して成長する環境を提供する
ある程度自由にやらせてみる

マズローの欲求階層の活用

効果的な活用のポイント

見極める

相手がどの階層にいるのかを見極めるのがマネージャーの仕事

維持する

欲求が満たされる状態を維持する

段階的アプローチ

下層を満たす前に上層の欲求を満たそうとしても効果が薄い

⚠️ 重要:下層が満たされないと上層の欲求を満たすことはできない

まとめ

まとめ

理想のチーム

メンバー全員が目標を理解し
役割を明確にして主体的に行動

主体的行動の条件

心理的安全性と責任感の
両方が必要

現状理解

タックマンモデルで現状把握
適切なFBが成長の鍵

動機付け

マズロー階層で相手を見極め
下層の欲求から満たす

参考文献

Tuckman, B. W. (1965). Developmental sequence in small groups. Psychological Bulletin, 63(6), 384-399.
Maslow, A. H. (1943). A theory of human motivation. Psychological Review, 50(4), 370-396.
Google re:Work - プロジェクト アリストテレス: 効果的なチームとは何かを知る
Edmondson, A. (1999). Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.
Scott, K. (2017). Radical Candor: Be a Kick-Ass Boss Without Losing Your Humanity. St. Martin's Press.(フィードバックマトリックスの概念)
📖 本資料は教育目的で作成されています